
きれいな肌とアトピーの肌って何が違うんだろう?
ネットで肌の構造を調べても、よくわからないぞ…
そんな方に、肌の生理学と論文、研究書類を元に、素人にもわかりやすく「きれいな肌とアトピー肌の違い」について解説します。
少し自己紹介をすると、私は生まれつきアトピー性皮膚炎です。
一時は全身に炎症が広がり、重症化して入院を3回しました。
現在は、皮膚科専門医の元での入院とエステティシャンの母の知識によってアトピーが完治状態になりました。
そんな皮膚のプロフェッショナルな2人と、ガチのアトピーの私がお伝えするので信頼度はかなり高い記事となります。
【結論】健康な肌とアトピー肌の肌の構造は全く同じ
健康な肌とアトピー肌の肌の構造は全く同じです。
ただ、
- 皮脂の量
- 肌の水分量
- セラミドの量
- 皮膚の厚さ(角質層の数)
これは、生まれ持った遺伝子レベルの問題で、どんなに努力してもあなたの遺伝的な素質を変える事はできません。
肌の生理学をかんたんに説明
肌の表皮は外側から、表皮、真皮、皮下組織という3 層でできています。
表皮は
「角質層」「顆粒層」「有棘(ゆうきょく)層」「基底層」の4つの層に分かれいます。
【表皮の一番上】角質層の役割
- 角質層は約14〜16層あります
- 厚さは約0.02mm(ラップ1枚分くらい)
- ケラチンと呼ばれるタンパク質でできています
- 細菌・紫外線・異物から肌を守るためのバリアの役割です
- 天然保湿成分(NMF)という保湿成分が角質が固くならないようにうるおいを保っています
- セラミドというのは、角質、1つ1つをつなぎとめているノリの役割をしています
今回は肌の潤いに関係する角質層について中心にお話しします。詳しく知りたい方はこちらの花王さんの皮膚の構造や働きのページが詳しく書かれています。
きれいな肌とアトピー肌の違いとは…?
きれいなお肌とアトピー肌を見た目や、角質の違いで比べてみましょう。
きれいなお肌はどんな肌?
- 肌色が均一
- ツヤとハリがある
- しっとりしている
- キメが整っている
きれいなお肌の角質【粘土レンガのカベ】
保湿成分が含まれたきれいな角質は、しっとりとした、粘土でできたレンガのようです。
粘土レンガはずっしりと重いです。
しっかりと積み重なる事で外敵から身を守れます。
16段、積み重なる事で中の水分が逃げることなく、自分のちからで保湿されています。
このセラミドが持つ水分保持機能や天然保湿因子(NMF)により、お肌がみずみずしく保たれ、また表面を覆う皮脂膜とともに外部刺激からのバリア機能を持ちます。
アトピー肌とは…?
- ツヤがない
- キメが粗い
- 皮膚がかたい
- ざらついている
- 乾燥していて粉っぽい
乾燥肌したアトピー肌【軽石のカベ】
アトピー肌はカスカスの軽石のようです。
油分がなく、水分も維持できず乾燥しています。
軽石のようなレンガは穴がたくさん開いていて隙間がいっぱいです。
もともと水分が少なく、天然保湿成分(NMF)セラミドが少ないです。
隙間だらけの皮膚からは水分がどんどん蒸発してしまいます。
そんな軽石は積み重ねても穴だらけなので、外敵が入りやすく、刺激に弱い。
肌の中の水分も蒸発しやすい状態です。
アトピー性皮膚炎の方は、角質層のセラミド量が少なく、角質層の水分量が健康的な肌状態に比べ少ない傾向にあるといわれています。
乾燥性敏感肌とは NMF(天然保湿因子)やセラミド等が不足し、肌の水分保持能が低下するとともに、バリア機能が低下し、外部からの刺激(気温の変化・ハウスダストなどのアレルゲン・雑菌・紫外線など)に対して過敏に反応する状態をいいます。
アトピー肌の経表皮水分蒸散量(TEWL)の関係
経表皮水分蒸散量とは…お肌から蒸発している水分量ということです。
肌から水分の蒸発量を図る研究の論文を見つけました。
その論文によると…
- アトピー性皮膚炎の湿疹がある肌の水分の蒸発量は、健康な人の11倍も蒸発している
- アトピーの湿疹がない部分の水分の蒸発量は、健康な肌の1.5倍も蒸発している
この表でわかるように、
アトピー性皮膚炎の湿疹がないところは、正常な老人より水分が蒸発しているという結果に…。
TEWLを低く抑えている因子、つまり軽表皮水分蒸散 を極力防いでいる因子は現在 では角層細胞間 に存在してい る層状に重 った脂質3~9)で,こ れが レンガ状 に幾重 にも重 っている構造が重要 と考え られ ている。脂質の層状構造を形成す るのに必要な構成成分 としてcholes-terol,cholesterol sulfate,ceramides,free
な どが挙 げられ ている10)。従 ってこれ らの 脂質成分の 総量の減少または一部の減少が生 じると角層細胞間の脂質多重層構造は破壊 され,そ の結果,水 分子 は角層細胞 間を自由に通過で きるようになってTEWL値 が上昇する
これを、簡単に説明するとこういう事です。
「肌が乾燥しないように水分の蒸発を防いでるのは細胞間脂質(セラミド)です。
セラミドが、レンガのように層が重なっている事が必要です。
これが崩れると、皮膚の水分は、角質細胞から飛んでいってしまい乾燥する。」
アトピー肌は「フィラグリン遺伝子」に異常がある?
アトピー肌はフィラグリン遺伝子異常があると言われています。
フィラグリン遺伝子異常とはどんなもの?
京都大学大学院 皮膚科,助教 大塚篤司先生のマルホ皮膚科セミナーの資料です。
アトピー性皮膚炎とフィラグリン2006年、nature geneticsにフィラグリン遺伝子の異常とアトピー性皮膚炎の罹患に相関があることが報告されました。この研究では、フィラグリン遺伝子変異とアトピー性皮膚炎、さらには喘息の発症にも関与することが言われています
それはフィラグリン遺伝子に異常があることで、皮膚のバリア機能が破綻し、異物もしくはアレルゲンが侵入し経皮感作が起こるためと考えられています。
アトピー性皮膚炎は
- バリア機能の異常にフィラグリンタンパクの低下が注目をされている
- フィラグリンタンパクと、健康な肌よりもセラミドが少ない
- フィラグリンタンパクの減少は、ぜんそく疾患とも関与しているのでは?
とかかれています。
アトピー肌の悪循環
フィラグリン遺伝子に異常がある→バリア機能が低下→痒みが出る→掻きむしる→乾燥する、傷が増える…結果…
きれいな肌とアトピー肌は「遺伝子レベル」で違う
きれいな肌とアトピー肌は「遺伝子レベル」で全然違います。
鼻が低いからといってマッサージしても鼻が高くならないですよね?
どんなに日焼けをしても、色白の人は色白のままです。
胃腸が弱い人は、通年、胃腸が弱いです。
それと同じで、きれいな肌と、アトピー肌は遺伝子レベルで違うのです。
母のエステに来るニキビ症のお客様
ニキビ症の人が、
べたべたするからという理由で「じゃぁ保湿しなかったらいい。」と思う人もがいるのですが、保湿をしなければ、肌に水分が少なくなり、皮膚は”かんちがい”をします。
間違ったスキンケアをすると肌は誤作動を起こして、「油をいっぱい出して皮膚を守るんだ!」と、どんどん脂を出してしまう事があります。
ニキビ症は肌の水分と油分のバランス、菌のバランスが崩れた状態です。
ニキビ症の人が、油モノをまったく食べなくても、つるつる肌になる事はありません。
母は、ニキビ症の人には、水分と油分のバランスを取るスキンケアと共に食事の指導をしています。
元々、持っている「遺伝子レベルの素質」がそれぞれ違うのです。どんなに努力しても、体質改善で遺伝子は変えられません。
【まとめ】きれいな肌とアトピー肌の「肌のしくみ」は同じ
きれいな肌とアトピー肌の「肌のしくみ」は同じです。
ただし、皮膚の厚さ(角質層の数)、セラミドの量、皮脂の量などは生まれ持っての素質で差があります。

どんなに努力してもアトピー肌は遺伝子レベルの問題。

持って生まれた素質を変える事はできません。
フィラグリン遺伝子についての研究や
「最新医学で一番正しい アトピーの治し方」の著者の大塚篤先生も
「保湿だけできれいな肌をキープする事」を目指していると書いています。
肌の生理学、を学んだ専門家は
「アトピーには保湿が重要。」と口を、そろえて言います。
それは、その人の持つ遺伝子が強いだけです。
アトピーの人にはアトピー肌に合うスキンケアが最も重要です。
ブログ管理人からひとこと

アトピーは”奇妙な病気”だから、ふつうの肌の人達とは違う…
私は30年のアトピーで苦しんでいた時、そう思っていました。
そして、「免疫の本」や「アトピー本」「民間療法の本」を何冊も読みました。
ドラッグストアで売られた化粧品は、肌に悪いと信じました。
塗れば塗るほど、肌が弱くなり、乾燥が酷くなる…と思っていました。
保湿しても痒かったので、一般的なスキンケアについて学ぼうとしませんでした。
どのように考えるかは自由ですが、どうか自分の肌を大切にしてくださいね。

